「面接では、どこを見られているんだろう?」
「志望動機や自己PRをうまく答えられないと不採用になる?」
「面接までに何を準備しておけばいい?」
転職活動で書類選考を通過すると、次に待っているのが面接です。
私は医療・福祉法人で10年以上、人事・採用を担当し、看護師や薬剤師、リハビリ職、介護職、医療事務など、さまざまな職種の採用に携わってきました。
採用する側として感じるのは、面接は「うまく話せる人」を選ぶ場ではないということです。
もちろん、第一印象や受け答えも見ています。
しかし、それ以上に確認したいのは、
- これまでどんな仕事をしてきたのか
- なぜ転職しようと思ったのか
- なぜこの職場を選んだのか
- 仕事内容を理解しているか
- 入職後に一緒に働けそうか
といった部分です。
想定質問への回答を丸暗記するよりも、自分の経験や転職理由、応募した理由を自分の言葉で説明できることの方が大切です。
この記事では、実際に面接する側の視点から、面接前に準備しておきたいこと、人事が見ているポイント、面接でよくある失敗について解説します。
結論|面接は正解を答えることではない
面接で大切なのは、想定質問への「正解」を完璧に答えることではありません。
- なぜ応募したのか
- これまでどんな仕事をしてきたのか
- 転職理由に納得感があるか
- 職場や仕事内容を理解しているか
- 一緒に働くイメージを持てるか
採用担当が確認したいのは、こうした部分です。
想定回答を丸暗記するよりも、自分の経験・転職理由・応募した理由を整理して、自分の言葉で説明できるようにしておくことが大切です。
面接前に最低限準備しておきたいこと
面接対策というと、想定質問への回答をたくさん用意する人もいるかもしれません。
もちろん準備は大切ですが、すべての質問に対する回答を用意する必要はありません。
まずは次の4つを整理しておきましょう。
応募先のことを調べておく
面接前には、応募先について最低限調べておきましょう。
確認しておきたいのは、
- 公式サイト
- 求人票
- 事業内容
- 法人・企業の理念や方針
- 募集している仕事内容
などです。
ただし、公式サイトに書かれている内容をすべて暗記する必要はありません。
採用担当として気になるのは、「なぜ数ある求人の中から、この職場へ応募したのか」という部分です。
応募先についてほとんど知らない状態では、「本当にうちで働きたいのかな?」と感じることがあります。
求人票だけでなく公式サイトにも目を通し、「自分がどこに興味を持ったのか」を整理しておくと、志望動機も話しやすくなります。
志望動機を自分の言葉で説明できるようにする
面接で聞かれる可能性が高いのが志望動機です。
ここで大切なのは、きれいな文章を作ることではありません。
「貴法人の理念に共感し……」
といった言葉を使うこと自体が悪いわけではありませんが、それだけでは「なぜこの職場なのか」が伝わらないことがあります。
例えば、
- これまでの経験を活かせそうだった
- 興味のある分野に取り組んでいる
- 求人に書かれていた仕事内容に魅力を感じた
- 今後身につけたい経験ができそうだった
など、応募したきっかけは人によって違います。
大切なのは、自分がその求人のどこに魅力を感じたのかを説明できることです。
これまでの経験・仕事内容を整理する
中途採用の面接では、これまでの経験について聞かれることが多くあります。
「○年間勤務しました」
「○○の資格を持っています」
だけではなく、
- どんな仕事を担当していたか
- どんな役割を担っていたか
- 得意だった仕事は何か
- 周囲とどのように仕事をしていたか
- これまでの経験を応募先でどう活かせそうか
まで整理しておくと、自分の経験を伝えやすくなります。
特別な実績がなければいけないわけではありません。
普段どのような仕事をしてきたのかを、採用担当がイメージできることが大切です。
転職理由・退職理由を整理する
転職理由や退職理由も、面接ではよく確認されます。
給与、人間関係、仕事内容、勤務時間、キャリアなど、転職を考える理由はさまざまです。
ネガティブな理由があること自体は珍しくありません。
だからといって、無理に前向きな理由へ作り替える必要もないと私は思っています。
ただし、
「上司が嫌だった」
「職場が最悪だった」
「給料が安かった」
だけで終わってしまうと、採用担当は「同じことが起きたら、またすぐに辞めてしまうのでは?」と気になることがあります。
事実を隠すという意味ではなく、
「なぜ転職したいのか」+「次の職場ではどう働きたいのか」
まで整理しておくことが大切です。
採用担当は面接で何を見ている?
応募者からすると、
「面接官は何をチェックしているんだろう?」
というところが一番気になるのではないでしょうか。
もちろん、採用基準は企業や法人、募集職種によって異なります。
ここでは、私自身が採用に携わる中で確認しているポイントを中心に紹介します。
第一印象と基本的なコミュニケーション
面接では第一印象も確認します。
ただし、高価なスーツを着ているか、完璧な面接マナーができているか、といったことだけを見ているわけではありません。
私が確認しているのは、
- 挨拶ができるか
- 相手の話を聞けるか
- 質問に対して答えようとしているか
- 基本的な礼儀があるか
- コミュニケーションに大きな違和感がないか
といった部分です。
特に医療・福祉の仕事では、患者さんや利用者さんだけでなく、多職種や他部署の職員と関わる場面も多くあります。
そのため、面接でのやり取りから「周囲とコミュニケーションを取りながら働けそうか」を見ることがあります。
これまでの経験やスキル
中途採用では、当然ながらこれまでの経験も確認します。
特に経験者採用の場合、
「どんな業務を経験してきたのか」
「入職後、どの程度仕事を任せられそうか」
は採用を判断する材料になります。
ただし、経験年数が長ければ必ず採用されるわけではありません。
同じ職種でも職場によって仕事内容や役割は違います。
そのため、単純な経験年数だけではなく、「実際に何を経験してきたのか」を確認しています。
一緒に働けそうか
採用面接では、経験やスキルだけでなく、
「この人と一緒に働けそうか」
という点も重要です。
どれだけ経験豊富でも、自分のやり方に強くこだわったり、周囲とのコミュニケーションに不安を感じたりすれば、採用を迷うことがあります。
逆に、経験が少なくても、
- 分からないことを学ぼうとする
- 周囲と協力しようとする
- 自分の経験を冷静に説明できる
といった姿勢が伝われば、プラスに感じることもあります。
特に未経験の仕事へ応募する場合は、経験がないことを無理に補おうとするより、仕事内容を理解しようとしていることや、これから学ぶ姿勢を伝えることが大切です。
転職理由に納得感があるか
転職回数だけを見て、機械的に採否を決めるわけではありません。
転職にはそれぞれ事情があります。
私が気になるのは、
「なぜ前の職場を辞めたのか」
「なぜ今回転職しようとしているのか」
「なぜこの職場を選んだのか」
という話につながりがあるかどうかです。
転職理由そのものよりも、本人が自分の転職についてどう考えているのかを確認しています。
長く働いてもらえそうか
採用する側としては、入職後に長く働いてもらえるかも気になるポイントです。
採用には求人広告費や紹介手数料などの費用がかかる場合がありますし、採用後には教育にも時間がかかります。
そのため、
「採用しても、すぐに辞めてしまわないだろうか」
という点はどうしても確認します。
ただし、面接で「長く働きます」と言えばいいわけではありません。
応募理由、転職理由、希望する働き方、仕事内容への理解などから、総合的に判断しています。

面接で完璧に話せなくても、それだけで不採用になるわけではありません。
緊張して言葉に詰まる応募者も珍しくありません。私が気になるのは、話し方のうまさよりも、「質問にきちんと向き合って答えようとしているか」です。
逆に、準備してきた回答を流暢に話していても、質問と回答が噛み合っていなかったり、本人の言葉に感じられなかったりすることもあります。
面接はプレゼン大会ではありません。多少言葉に詰まっても、自分の経験や考えを自分の言葉で伝えることの方が大切だと私は考えています。
面接でよくある失敗と対策
ここからは、実際の面接でも気になりやすい失敗を紹介します。
どれか一つに当てはまったから即不採用、という話ではありません。
ただ、事前に少し準備しておくだけで防げるものも多くあります。
志望動機がどの職場でも通用する内容になっている
「理念に共感しました」
「経験を活かしたいと思いました」
という志望動機だけでは、他の職場でも同じことが言えてしまいます。
応募先のすべてを詳しく調べる必要はありませんが、
「この求人のどこに興味を持ったのか」
くらいは説明できるようにしておきましょう。
前職への不満ばかり話してしまう
前職への不満が転職のきっかけになることは珍しくありません。
人間関係や待遇など、本当に職場側に問題があるケースもあります。
そのため、不満があること自体を隠す必要はありません。
ただ、面接の大部分が前職の悪口になってしまうと、採用担当としては不安になります。
「○○という理由で転職を考えた。そのため、次は○○を重視して働きたい」
というように、過去の不満だけでなく、これからどうしたいのかまで伝えることを意識しましょう。
質問への回答が長すぎる
一生懸命伝えようとして、回答が長くなってしまうことがあります。
しかし、話が長くなるほど、
「結局、質問への答えは何だったんだろう?」
となりやすくなります。
面接では、まず質問に対する答えを伝えて、その後に理由や具体例を補足すると分かりやすくなります。
逆に「はい」「いいえ」だけで終わってしまうのも、経験や考えが伝わりません。
結論 → 理由 → 必要なら具体例
くらいを意識すると話しやすくなります。
求人票や応募書類と話が食い違う
面接前には、自分が提出した履歴書や職務経歴書をもう一度確認しておきましょう。
複数の求人へ応募していると、
「どこまで書いたか覚えていない」
ということもあります。
書類と面接で話す内容に大きな違いがあると、採用担当が気になることがあります。
特に、
- 在職期間
- 担当業務
- 退職理由
- 志望動機
- 希望条件
などは確認しておきましょう。
給与や休日など条件の話ばかりしてしまう
給与や休日、勤務時間などを確認すること自体は悪いことではありません。
むしろ、転職後のミスマッチを防ぐためには重要です。
ただし、面接の大部分が条件確認になってしまうと、
「仕事内容には興味がないのかな?」
と感じることがあります。
仕事内容や職場について確認したうえで、必要な条件についても確認する。
そのくらいのバランスを意識するといいでしょう。
逆質問を「特にありません」で終える
面接の最後に、
「何か質問はありますか?」
と聞かれることがあります。
無理に質問を作る必要はありませんが、求人票や公式サイトを見て気になったことがあれば、この機会に確認しておきましょう。
例えば、
- 入職後に担当する仕事
- 配属予定の部署
- 入職後の教育
- 一日の仕事の流れ
- 職場の体制
などです。
面接は採用されるためだけの場ではありません。
自分がその職場で働けそうか確認する場でもあります。
面接でよく聞かれる質問と採用担当が確認したいこと
面接対策では「どう答えれば正解なのか」を考えがちです。
しかし、質問にはそれぞれ確認したいことがあります。
代表的なものを整理すると、次のようになります。
| よくある質問 | 採用担当が確認したいこと |
|---|---|
| 志望動機 | なぜこの職場を選んだのか |
| 転職・退職理由 | 転職理由に納得感があるか |
| これまでの仕事内容 | どんな経験・スキルがあるか |
| 得意・苦手なこと | 自分自身をどう理解しているか |
| 入職後にやりたいこと | 求人とのミスマッチがないか |
| いつから働けるか | 採用スケジュールと合うか |
| 他社の選考状況 | 現在の転職活動の状況 |
面接では「正しい答え」を探すより、「なぜこの質問をされているのか」を考えると回答しやすくなります。
採用担当が確認したいことを理解したうえで、自分の経験や考えを自分の言葉で伝えましょう。
直接応募でも求人サイト経由でも面接の基本は同じ
直接応募をすると、
「直接応募だから面接で有利になる?」
「求人サイトから応募した場合とは違う?」
と気になる人もいるかもしれません。
しかし、直接応募でも求人サイト経由でも、面接で確認する基本的なポイントは同じです。
応募経路だけを理由に採否を決めるわけではありません。
大切なのは、
- これまでの経験
- 応募理由
- 転職理由
- 仕事内容への理解
- 面接でのやり取り
などを総合的に見て、「採用したい」と思えるかどうかです。
直接応募そのもののメリットや、転職エージェントとの違いについては、別の記事で詳しく解説しています。

面接は「自分を良く見せる場」だけではない
面接というと、
「どうすれば採用してもらえるか」
ばかり考えてしまいがちです。
しかし、面接は企業や法人が応募者を選ぶだけの場所ではありません。
応募者側が職場を確認する場所でもあります。
面接では、
- 面接官の対応
- 求人票と実際の仕事内容に違いがないか
- 配属先や業務内容
- 教育体制
- 職場の雰囲気
- 自分が希望する働き方ができそうか
なども確認してみてください。
採用されることだけをゴールにすると、入職してから、
「思っていた職場と違った」
となる可能性があります。
面接で気になることがあれば確認し、自分にとっても納得して働ける職場なのかを判断することが大切です。
まとめ|面接は完璧に答えることより準備が大切
面接では、すべての質問に完璧に答える必要はありません。
採用担当が知りたいのは、用意された模範回答ではなく、あなたがこれまでどのように働き、なぜ転職し、なぜその職場を選んだのかということです。
面接前には、次の順番で準備してみてください。
求人票だけでなく公式サイトにも目を通し、仕事内容や法人・企業の特徴を確認しておきましょう。
これまで担当してきた仕事や役割、転職を考えた理由を、自分の言葉で説明できるように整理します。
質問の模範回答を覚えるのではなく、「なぜこの質問をされているのか」を意識して準備しましょう。
完璧に話すことよりも、自分の経験や考えを相手に伝わるように話すことを意識しましょう。
面接で緊張するのは珍しいことではありません。
流暢に話すことよりも、質問をきちんと聞き、自分の経験や考えを伝えることを意識してみてください。
そして、面接は採用してもらうためだけではなく、自分自身がその職場で働きたいと思えるかを確認する機会でもあります。
採用する側・される側の双方が納得できることが、入職後のミスマッチを防ぐことにもつながります。

