はじめに
転職活動といえば「転職エージェントに登録するのが当たり前」と思っていませんか?
ネットで「看護師 求人」と検索すると転職エージェントの求人情報が多数ヒットしますし、
「おすすめ転職サイト〇選」といった記事ばかりが目に入るはずです。
しかし、病院や介護施設を運営する法人で 10年以上、人事担当者として採用業務に携わってきた私の本音を言えば、「できれば直接応募してほしい」 というのが正直な気持ちです。
この記事では、人事担当者の立場から なぜ直接応募の方が有利になるのか を3つの理由に分けて解説します。
理由① 採用コストがかからないから有利
人材紹介会社に支払う紹介料の実態
転職エージェント経由で採用が決まると、病院や施設は 紹介料として想定年収の20〜30%程度 を支払います。
たとえば年収400万円の人を採用すると、80万〜120万円ほどのコストが発生することになります。

規模の大きな法人であれば年間数千万円以上コストが・・・
紹介料は選考にも影響する
このコストは病院や施設にとって非常に大きく、
「エージェント経由で採るなら、本当に即戦力じゃないと…」
という気持ちがどうしても働きます。
逆に直接応募で来てくれた方は、こうした余計なコストがかかりません。
その分「ぜひ採用したい」と前向きに考えやすいのです。

そもそも急募でなければ転職エージェントに依頼しないことも!
直接応募は「大事にしたい人材」になりやすい
人事担当者からすれば、直接応募は 転職希望者が自分で求人を調べて応募してもらえた人材。
「縁があった」と感じ、自然と評価がプラスになる傾向があります。
理由② 採用担当との距離が近くなる
応募時点から人事に直接伝わる安心感
直接応募では、応募書類や志望動機が 人事にダイレクトに届きます。
最初から「本人の言葉で伝えてくれている」と感じられるので、安心感があります。
転職エージェント経由だと“伝言ゲーム”になるリスク
転職エージェントを介すると、どうしても「伝言ゲーム」のようになります。
本人の意図が正確に伝わらなかったり、転職エージェントが“盛った”情報が届くこともあります。
転職希望者・人事担当者が「こう伝えたい」と思っていても、エージェントが「これは言わない方がいい」と判断したら、少しニュアンスを変えて相手方へ伝えられるのです。

面接のときに「聞いていた話と違う」とお互いに違和感を持ってしまうことも少なくありません。
直接応募は“顔が見える関係”を築きやすい
直接やり取りをすることで、応募時から「信頼関係のスタート」を切ることができます。
人事担当者としても「ちゃんと自分で動ける人だな」と好印象につながります。
理由③ 採用後のミスマッチが減る
転職エージェントは「内定をゴール」にしがち
転職エージェントにとってのゴールは「内定」。
応募先に転職してもらわないと一銭にもなりません。
そのため、ときに本人の希望よりも「紹介料が高くもらえる求人」「とりあえず内定が出そうな求人」を勧めるケースがあります。
結果的に納得感のある転職につながる
直接応募の場合は、転職希望者が自分で求人情報を調べて応募します。
そのプロセス自体が「仕事内容や条件を自分の目で確認する」機会になり、結果的に納得感のある転職につながります。
直接応募の方が定着率が高い
人事担当者は「採用してもすぐ辞める人」より「長く続けてくれる人」を採りたいのが本音。
直接応募で来てくれた人は、入職後もギャップが少なく、定着率が高い傾向があります。
出典:厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/11650000/000579094.pdf
「医療・介護分野における職業紹介事業に関するアンケート調査」
(リンク先の11枚目)

私が勤務している法人でも、転職エージェント経由で入職した人は離職率が高い傾向にあります。
まとめ|まずは直接応募を意識してみてほしい
採用の現場で人事を担当してきた立場から声を大にして伝えたいのは、
「直接応募は思っている以上に有利」 だということです。
- 採用コストがかからない → 病院や施設に歓迎される
- 人事担当者との距離が近い → お互いに雰囲気が伝わりやすい、信頼を築きやすい
- 採用後のミスマッチが少ない → 転職後に安定して働ける
もちろん、すべての人が直接応募だけで転職できるわけではありません。
でも、転職活動のスタートとして 「まず直接応募を意識してみる」 ことが、結果的にあなたにとってもプラスになると私は考えています。
👉 次回は、「直接応募が難しいときに考えたい転職エージェントの使い方」についてご紹介します。