はじめに
人間関係の悩みは常に“転職理由の上位”です。
医療・介護の職場では、年齢もキャリアも価値観もバラバラな人たちが一緒に働きます。
忙しさも重なって、どうしても人間関係の悩みが起きやすい環境です。
実際に私が人事として見てきた中でも、
「人間関係」や「職場の雰囲気」はよくある退職理由の一つです。
ただ、こんな声もよく聞きます。
「人間関係がつらい…でも、次の職場でも同じことが起きたらどうしよう?」
「面接では良い人そうに見えても、実際は違うかもしれない…」
たしかに、人間関係の“全て”を転職前に把握することは難しい。
ですが——
事前にチェックするだけで避けられるトラブルもある
というのが人事としての正直な実感です。
この記事では、
医療・介護職が人間関係で失敗しないために、応募前・面接・見学でできる具体的な対策
を分かりやすくまとめました。
なぜ医療・介護の職場は人間関係の悩みが起きやすいのか
まず前提として、医療・介護職は人間関係の問題が起きやすい“構造”があります。
チーム構成が複雑で、価値観の違いが出やすい
- 医師・薬剤師・看護師・リハビリ職・介護職など多職種連携が必須
- 若手からベテランまで年齢層が幅広い
- 経験年数による価値観の違い
こういった職種・年齢・価値観の違いは、どうしても摩擦が生まれやすい土台になります。
忙しさ・人手不足による“余裕のなさ”
みなさんご存じのように、特に介護職の人手不足は全国的に問題となっていて、事業縮小まで起こっている状況です。
疲れていると、誰でも言い方が強くなったり、コミュニケーションが雑になりがちです。
上司(主任・リーダー)のマネジメント力に差が大きい
管理職になりたがらない専門職の人は結構多く、管理職になりたくてなったわけではない人もいます。
また、「現場での優秀さ=管理職の優秀さ」ではありません。
そのため、
- 良い人材が辞めてしまう職場
- 忙しくても人が辞めにくい職場
など差が出やすいのです。
事前に確認“できる部分”と“できない部分”
ここが、本記事の最重要ポイントです。
人間関係の失敗の原因には次の2種類があります。
✔ 事前に見える部分(=チェックすれば避けられる)
- 職場の雰囲気(忙しすぎ・ギスギスなど)
- 年齢層やスタッフ構成のバランス
- 指導体制や新人への接し方
- 管理職のマネジメントスタイル

人事の立場から具体的にアドバイスすると、
ベテランの在籍年数は長いけど、新人の入れ替えが多い場合、勤務環境が硬直化していて新人にとっては働きづらい可能性があります。
✔ 事前には見えない部分(=運に近い)
- 個々人の性格
- 特定の人同士の相性
- 配属直後の偶然のトラブル
- 数ヶ月後の人事異動
見える部分をしっかり確認することで、人間関係の失敗はかなり減らすことができます。
応募前にできる“人間関係を見抜くチェックポイント”
ここでは、求人票や口コミなど、応募前にできる情報収集の方法を紹介します。
求人票の「あやしいサイン」は必ずチェック
次のような求人は慎重に見てください。
- 「アットホーム」など抽象的な言葉ばかり
- 配属部署の情報が曖昧
- 求人がずっと掲載されている
- 求人文面が毎回ほぼ同じ(コピペ感)
もちろん、これだけで「悪い」と決めつけるのは早いですが、
職場の雰囲気に自信があるところほど情報を出しています。
口コミサイトの“正しい”使い方
口コミは有益ですが、使い方に注意が必要です。
- 極端な評価(★1/★5)は除外
- 同じ指摘が複数あるかに注目
- 「いつの口コミか?」を見る(古い情報は参考程度)
Google口コミ・外来の評判もヒントに
医療機関の場合、
患者さんのストレスは職場のストレスと連動しやすい
ため、雰囲気の参考になります。
ただし、Googleの口コミでは医療機関は評価が低くなりがちです。
絶対評価ではなく、他医療機関などと比較して相対的にどうなのか見た方がよいでしょう。
面接・職場見学で“人間関係の良し悪し”を見抜く質問ポイント
面接では「聞きにくいこと」をどう聞くかが大切です。
面接時におすすめの質問例
Q1:新人へのサポート体制
「新しく入った方が職場に馴染むために、どんなサポートがありますか?」
→ いい職場ほど、具体的な話が返ってきます。
Q2:職種間の連携
「日常的な他職種との連携はどのように進めていますか?」
→ 役職者の説明が曖昧な場合、チーム内で課題があることも。
「問題点は会議で話し合います。」だけでは不安が残ります。
Q3:前任者の退職理由
柔らかく聞くなら
「引き継ぎの状況について教えていただけますか?」
→ 退職理由に軽く触れてくれる職場は透明性が高いです。
職場見学で注目すべきポイント
- スタッフ同士の会話のトーン
- 新人・若手に対する言葉かけ
- 一部の人だけが忙しすぎていないか
- ナースステーションがピリついていないか
- あいさつが自然に返ってくるか
雰囲気は必ず“温度”でわかります。
見学でイヤな予感がしたら、その感覚は重視するべきです。
それでも不安な人へ
やっぱり“直接応募”は雰囲気が伝わりやすい
直接応募のメリットはこれです。
- 採用担当と直接コミュニケーションできる
- 見学や面接などのスピード感によってどういう病院・施設かわかる
- 求人票に書けない本音も聞きやすい
人事目線では、
リアルな部分を知りたい人ほど、直接応募の相性が良い
と感じています。
転職エージェントを使うなら“情報の質”を重視
- 実際に病院・施設を訪問したことがある転職エージェントか
- 担当者があなたの職種に詳しいか
- 同じ施設に複数名を紹介した実績があるか
“求人数が多いだけの転職エージェント”だと、人間関係の詳細が分からないことがあります。
その点、実績が多ければ過去に紹介した人から情報が入っている可能性があります。
(転職エージェントが正直に話してくれるかはわかりませんが…詳細は下の記事から)
過去の記事では、厚生労働省で公表されているデータを基に、人材紹介会社の実績や早期離職率を計算しているのでこちらも見てみてください。
“紹介予定派遣”も一つの手
直接応募と比べると応募できる病院・施設は減るかもしれませんが、
『どうしても不安』
『絶対に失敗したくない』
という方は、実際に働いて職場の雰囲気を確認できる(お試しできる)“紹介予定派遣”がおすすめです。
入職後の「人間関係のギャップ」を乗り越えるための考え方
どんなに準備しても、
多少のギャップはつきものです。
最初の1〜3ヶ月は“観察期間”と割り切る
新しい環境では不慣れなこともあり「自分には合わない」と感じやすい状況です。
働き始めは大変で当たり前。
手取り足取り教えてもらえない場合でも、見て学びましょう。
全員と仲良くならなくてOK
最初から全員と距離を縮める必要はありません。
まずは身近に頼れる人をみつけましょう。
自分の役割を丁寧にこなす人は自然と馴染む
どの職種でも共通しています。
誠実に働く人を冷たく扱う職場は、そもそも選ばないほうがよい職場です。

まれに「前の職場ではこうだったから」といってそのやり方が正解だといわんばかりの人がいますが、それでは新しい職場で馴染むことはできません。
まとめ
転職する際、人間関係の不安は“運”ではなく“情報の取り方”で改善できます。
- 医療・介護職は人間関係の悩みが起きやすい構造
- でも、事前に見える部分をしっかりチェックすれば失敗は減る
- 面接・見学での質問と観察がとても大事
- 完璧な職場を求めるのではなく「大きな問題がない職場」を選ぶことが最適解

いくら離職率が低い病院・施設であっても、必ず何かしら問題は抱えていますし、合わずに辞める人はいます。
誰にとっても完璧な職場はありませんし、相性が合わない人はいるものです。
そこは仕事だと割り切って、自分にとって「大きな問題がないか」を確認しましょう。



