はじめに
前回の記事では看護師やリハビリ、介護職の転職について、「直接応募が有利になる理由」を紹介しました。
採用の現場で働く人事担当として、これは今でも変わらない本音です。
しかし現実には、直接応募だけではなかなか転職活動が進まない人もいます。
そこで今回は、あえて人事の立場から 「転職エージェントを利用すべきケース」 を整理してみます。
直接応募が難しいケースとは?
非公開求人を探したいとき
特定のポジションや専門職の求人は、一般公開されず「非公開求人」として転職エージェントにのみ預けられることがあります。
たとえば管理職候補や特殊な資格を要するポストなどは、法人側も慎重に募集するためです。
もし自分のキャリアをより活かせる「目に見えない求人」を探したいなら、転職エージェントの利用を検討しても良いかもしれません。
ただし、“病棟看護師”や“老健の介護職”といった通常の募集について転職エージェントにだけ求人を公開することは100%ありません。(少なくとも私のまわりでは聞いたことがありません。)
在職中で時間が取れないとき
仕事を続けながら転職活動をするのは大変です。
- 履歴書/職務経歴書の作成
- 面接日程の調整
- 入職日の調整 など
こうした手間を転職エージェントが代行してくれるのは、忙しい方にとって大きなメリットです。
通常であれば人事担当者なら連絡が取れない時間であっても、転職エージェントの営業担当者は対応してくれます。

営業担当者から「この後、20時から求職者とアポ取ってます(もちろん残業!)」と言われると頭が下がります。
転職活動の進め方に自信がないとき
「自己分析がうまくできない」
「そもそもどんな求人を探せばいいのか分からない」
そんなとき、転職エージェントによるキャリア相談は有効です。
特に初めての転職活動やブランクがある方は、客観的なアドバイスを受けることで一歩を踏み出しやすくなります。
転職エージェント利用のデメリットも理解しておこう
採用側に紹介料が発生する
前回も触れましたが、転職エージェント経由の採用には大きなコストがかかります。
そのため採用側は「せっかく費用をかけるなら即戦力を採りたい」と慎重になります。
つまり、直接応募に比べて 採用のハードルが上がる 場合があるのです。

早期退職されると多少の返金はあるけど、雀の涙ほど・・・
希望と違う求人を勧められることもある
転職エージェントの営業担当者の評価は「内定数」で決まることが多いです。
そのため「とりあえず決まりやすい求人」を強めに勧められるケースもあります。
結果的に本人の希望とかけ離れた求人を提示されることもあるので注意が必要です。
ちなみに、転職エージェントは比較的離職率の高い職種です。
どの転職エージェントにも実は業界にあまり詳しくない営業担当者は一定数います。

「なんでこの考え方の人をこの施設形態に紹介したの?」と思ったことも一度や二度ではありません。
情報がフィルタリングされるリスク
転職エージェントを介すると、企業からの情報がすべて本人に届くとは限りません。
営業担当者に「この部分は言わなくてもいいか」と判断されることがあり、
最終的に「思っていた職場と違った」というミスマッチにつながる可能性があります。
人事担当者としての本音アドバイス
まずは直接応募を優先、それでも難しいときに補助的に使う
基本スタンスは変わりません。

「まず直接応募で動く」 のがベスト!
ただ、どうしても進まない場合に 補助的に転職エージェントを活用する のは合理的な選択肢です。
複数の転職エージェントを併用すると情報が広がる
ひとつの転職エージェントに頼ると情報が偏ります。
2〜3社に登録して比較することで「この求人は本当にレアなのか?」が見えてきます。
おそらく紹介される求人も多少違ってきます。もし、同じ病院や施設を紹介されたら、そこの評価を聞いて比較してみると面白いかもしれません。
依存しすぎないことが大事
転職エージェントは便利ですが、あくまで 道具 です。
自分の意思決定を丸投げしてしまうと、ミスマッチや後悔につながります。
「相談はするけど、最終判断は自分で」——これが後悔しない転職の鉄則です。
まとめ
- 直接応募は人事にとっても応募者にとってもメリットが大きい
- ただし「非公開求人」「在職中で忙しい」「転職初心者」の場合は転職エージェントの利用が役立つ
- デメリット(紹介料・希望とズレる求人・情報制限)も理解した上で使うことが大切
- スタンスは「直接応募が基本、エージェントは補助」 が最も現実的
👉 次回は、直接応募を成功させるために必要な準備(履歴書のポイント・求人の探し方) を解説していきます。